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「最近、夕方にひゐろを見かけないな

Le 23/06/2024

「最近、夕方にひゐろを見かけないな。あいつは、どこに出かけているんだ」 三重吉は、民子に訊ねた。 「きっとお友だちの珠緒さんと、お花やお茶の帰りにぶらぶらしているんでしょう」 民子は、意にも介さない様子だった。 「あいつはおてんばだから、何をしでかすかわからない。注意しておくように」 「はい」 玄関の前を孟が通りかかり、三重吉と民子の二人の様子を見る。 「……行ってらっしゃいませ。お気をつけて」 孟は帽子を取って、頭を下げた。 ひゐろは父が出かけるのを見届けた後、の着物に着替えた。 「……今日は、珠緒といっしょに銀座へ買い物に行ってきます!」 と玄関先で、行き先を大きな声で言う。 「ひゐろ、行き先を言うなんて、珍しいじゃない」 民子は、に思った。 「……たまには、きちんと言ったほうが良いかなと思って。お父様が心配しないように」 「おかしな子だこと」「とりあえず、行ってまいります!」 銀座の口入れ屋に着くと、事務員の男性が 「今日はご指名だよ、すでにお客さんがお待ちだ」 「……ご指名?私に?」 まだオートガールになって、それほど時間が経っていない。 一体、誰が私をご指名したのだろう。 まさか、あの弘だったらどうしようとひゐろは思った。 「こんにちは。今日は、よろしくお願いします」 目の前に立っていたのは、孟だった。 【生髮方法】生髮洗頭水效用&評價! @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 ::「……孟さん!なぜここを?ちょっと外に出ましょう!」 ひゐろは二人を見る事務員の目線が気になり、孟の二の腕を引っ張った。 「……それでは、行ってまいります!」 ひゐろは、口入れ屋の事務員に声をかけた。 孟はひゐろに引っ張られて、口入れ屋の外に出る。 「昨日、銀座の伊西屋で文房具を購入した帰り、ひゐろさんと斉藤を見かけたんだよ。悪いけど、後を追わせていただいた。まさか、ここで働いていると思わなくてね。びっくりしたよ。それで昨日着物の特徴を伝えて、ここの予約を入れた」 「斎藤?孟さんは、昨日のお客様を知っていたんですね。確か彼は、東京帝国大学に通っているとおっしゃっていた……」「斎藤には、ひゐろさんのことについては何も聞かなかったけれど」 「当然です!斉藤さんには、何も言わないで。もちろん、お父様にも内緒にしてください。ここで働いていることがわかったら、お父様はきっと許さないと思うから……」 「とりあえず話は、車の中で聞こう」 孟の用意した車は、ひゐろの父の車だった。 「お父様の車!何だか落ち着かないわ……」 孟は声を上げて笑った。 孟は車を、東銀座のほうに走らせた。 「……今日、予約を取ったのは、お父様に話すため?それともお父様の差し金?」 ひゐろは、孟を問い詰めた。 「オートガールの予約は僕が勝手にやったことで、三重吉さんには話すつもりはないよ。ただなぜ、オートガールを始めようと思ったの?」 「本当は女性車掌志望だったけど、採用してもらえなかったの。それで銀座を歩いていたら、オートガール募集のチラシをもらって。それで勤めることにしたの」 「毎日、運転する男性の隣に座る。しかも、お相手する男性が代わるというのは、どうなの?」 「……孟さんは、私にお説教したいんですね」「いやいや。そもそも怖くないの?車に乗っていたら、そのまま客の男にどこかにさらわれてしまう可能性もあるんだよ」 「勤務は昼間です。しかも口入れ屋を通しているから、大丈夫です」 「どこか行きたいところはありますか?」 「いえ、特に」 「……それでは、芝公園のほうに行きましょう」 孟はそう言って、ハンドルを切った。 芝公園の杉並木を、孟が運転する車で抜けていく。 「風が爽やかね」 「車を降りて、蓮池のほうに行きましょう」 孟はそう言ってひゐろを誘い、二人で蓮池に歩いていく。

 
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