「病の影響故か、僅かな光でもお気に障られるらしく、殿のご命令で極力灯を遠ざけておりまする。
前が見え辛ろうてご不便でございましょうが、ご辛抱下さいませ」
歩を進めつつ、恒興は有り体に説明した。
「兄上はこの櫓のどこにおいでなのじゃ?」
「最上部におわしまする」
言っていると、一行の前に上へと続く階段が現れた。
「些か段が急になっております故、お足元にはくれぐれもお気をつけ下さいませ」
そう注意を促すと、恒興は慣れている様子で、足元も見ずに上へ上へと登ってゆく。
信勝も横の壁を手すり代わりにしながら、蔵人と共にその急階段を登っていった。
やがて、一行が最上部へと続く最後の階段を登ろうとした時 香港打Botox邊間好?我適合Botox去皺瘦面嗎?一文了解Botox價錢、功效及風險
「 !? 」
急に蔵人が足を止め、険しい表情をしながら背後にサッと目をやった。
「蔵人、如何した?」
「いえ。ただ…、今何か、某の後ろを人のような黒い影が、通り過ぎていったような気配が」
「人の影、とな?」
「それはお気のせいでございましょう。殿の他に、今ここには誰もおりませぬぞ」
まさか重病の信長が床から抜け出して歩き回っている訳もなし、と恒興が冗談めかして告げると
「少々気にかかります故、辺りを確認して参りまする。信勝様は先に信長様の所へ」
蔵人はそう言って信勝を見送ると、腰の刀に手を置きながら、慎重に周囲を見回った。
ガタ…
すると、古い長持ちが積み上げられている南側の一角から微かな物音が響いた。
蔵人は素早く踵を返すと、刀を抜く姿勢を整えながら、慎重に慎重にその一角へと進んでいった。
積み上げられた長持ちと壁面の間に、大人一人が身を隠せそうな隙間が確認出来る。
『 あそこか… 』
蔵人はゆっくりと鞘から刀を引き抜くと、忍び足でその隙間に近付き
「何奴ッ──!!?」
勢いよく、刀の切っ先をその隙間に振り向けた。
すると奥で、小さな黒い影が蠢(うごめ)き、やがてそれはサーッと風のように蔵人の足元をすり抜けていった。
蔵人が慌てて、その影を目で追うと、格子の窓から漏れる淡い光に照らされて、一匹の黒猫がその愛らしい姿を現した。
蔵人の全身から、張り詰めていたものが一気に放出されてゆく。
『 猫の影を人の影と見間違うとは……武士の名折れよ 』
蔵人は自嘲気味に笑うと、刀を鞘に収め、再び最上部に向かおうとして、階段のある方へ身体を向け直した。
「 ! 」
その瞬間、蔵人の前で銀色の細い光が宙に振り上がり、そして勢い良く蔵人の胸元めがけて下りてきた。
「ぁ…ぐぅ…ッ」
同時に、蔵人の身体から血渋きが飛び、彼は苦悶の表情を浮かべながら、バタリッと後ろ背に倒れた───。
「 ? …今の音は何じゃ」
最上部に着いた信勝は、ふいに下から聞こえた物音に眉をひそめた。
「音とは、何のことでございましょう?」
「今、下の方で何か物音がしたであろう?」
「はて、某には聞こえませなんだが」
恒興は小首を傾げると
「それよりも信勝様。殿は只今、こちらのお部屋の奥の間にてお休みあそばされておりまする」
話を逸らすように、最北に設けられた一室の前で片膝を折った。
「殿のお休みの妨げにならぬよう、静かにお見舞い下さりませ」