「美海!」
「佳菜!」
目を腫らした山本が小走りで来る。
「「卒業おめでとう!」」
二人は笑った。
「美海。大学行っても「それもう聞いた」
「違うよ!友達なのは当たり前だからわかってる!だって美海は私と友達でいたいでしょ?」
ニヤァッと山本は笑った。
「ま…まぁね」
美海は照れたようにそっぽを向く。
「あらぁ!あら?あらあら?」
山本はニヤニヤと覗き込む。【生髮方法】生髮洗頭水效用&評價! @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 ::
バシッ
美海は山本の頭を叩いた。
「ったぁ!そうそう。それでちゃんと連絡取ってよね。美海の場合面倒くさがりやだから」
山本は頭を抑えながら言う。
「取るよ!……多分」
「え~?」
「立花先輩!山本先輩!」
声が聞こえて後ろを振り向く。
美海と山本は苦笑いで顔を見合わせた。
「なんであんたらが泣いてんの」
剣道部の後輩達が号泣しながら立っている。
「わた…ズピッ…私達は…!」
山本と美海は中々上手く喋れない後輩の話を微笑みながらゆっくり聞いた。
「立花…ヒック…先輩の強いのにヒッ…気取った雰囲気がないとこや、山本先輩の明るヒック!くて優しいところが…大好きでしたぁぁぁぁあ!」
「後は、俺らに任せてください!絶対に先輩達に恥ずかくないようにがんばりますから!」
「大学頑張ってください!」
「「「卒業おめでとうございます!」」」
「「ありがとう!」」
二人はにっこり笑った。
「ちょ!まじでどいてくれ!頼む!」
人混みの中から叫ぶ声が聞こえる。
人混みの足元からボロボロになった人が出てくる。
「赤坂くん!?大丈夫!?」
めでたい日なはずなのだが、赤坂の上着からは全てのボタンが引きちぎられ、かわりにポケットにはラブレターらしき物が沢山入っている。
「モテる人は大変だねぇ」
呑気に山本が言った。
赤坂のモテ具合は尋常じゃない。
あんたが逃がした魚はかなりデカイよ。
山本はちらりと美海を見た。
「あのさ…。立花」
お…?
山本のレーダーが反応する。
「もう一度最後に言う」
おぉ!?
掛かった!また竿に掛かった!
「俺、まだ立花が好きだ」
周りにいた女子は皆固まる。
そこだけ静かな空間に包まれた。
桜の花びらだけが散る。
ザァァァァァッ…
皆ゴクリと唾を飲む。
「『ゴメンナサイ。イマハツキアエナイ。デモアリガトウ』」
周りは固まる。
「ぶっ!…ふふ!」
山本は呆然としていたのだが、ついに吹き出した。
赤坂の最後の桜は儚く散り去った。
山本は美海の肩をバシバシと叩いて笑っている。
「空が蒼いなぁ……」
赤坂は地面に仰向けになり粒やいた。
涙目だった。
校門に近づくに連れ、なんだか美海の視界は曇ってきた。
隣の山本に悟られないように空を仰ぐ。
あの門をくぐるとこれから隣には佳菜はいない。
「美海?」
突然美海は脱線して近くの桜の木の前で屈んだ。
わかった。
美海の特徴だった。私には泣き顔を見せない。
一度美海の両親に聞いたことがある。
大切な人には泣き顔は見せないって。あれが美海の泣き方だって。
山本はゆっくりと美海に近寄った。
ポン
ポンポン。
「ごめん…。なんかもう離れるんだなぁって思ったら…」
山本は目を見開いた。
「佳菜は、私といて、楽しかった?」
山本は呆れたようにため息を着いた。
「なぁに言ってんの!私、美海と出会えてよかったと思ってるよ。楽しくなかったらずっと一緒にいないっつーの!」
山本は美海を抱き締めた。
「ありがとう…」
「離れるわけじゃないよ。
終わりじゃないよ。
…さよならじゃないよ。
門、くぐろう?」
山本を見ると、やっぱり山本も泣いていた。
「そだね!」
二人は手を繋いで校門の前まで行った。
チラリと後ろを振り返る。三年間お世話になった校舎。
またね。
「「せぇ~の!」」
二人は笑って顔を見合わせると、校門をジャンプしてくぐった。