奇妙は今年で数え十三。

Le 27/09/2024

奇妙は今年で数え十三。

戦国の世では既に大人と見なされていた歳ではあるが、机に向かうその横顔には、まだまだあどけなさが残っている。

濃姫は、奇妙が立派な大人に成長してくれることを願う一方で、出来れば子供のままでいて欲しいと願うこともあった。

自分も歳を取ったせいだろうか。

こんなにも純真で、ひたむきで、清い御子が、何故無理に大人になってしまう必要があるのか?

今のままでも十分ではないかと、馬鹿馬鹿しくとも、ついそんなことを考えてしまうのである。

そんな濃姫だからなのか、奇妙が 【生髮方法】生髮洗頭水效用&評價! @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 ::

──様?」

と声をかけて来るまで、目の前の子がこちらの存在に気付き、振り返っていたことにも気が付かなかった。

濃姫はあっとなり、「こ、これは失礼を」と思わずでに気付かず、申し訳ございませぬ。──義母上様にはおかれましては、ご機嫌麗しう、またお久しう存じ奉ります」

「奇妙殿

「こちらへおし下されたということは、もうお元気になられたのですね?」

「え?」

「にも分からぬご体調の不良が続き、義母上様はお部屋にて日々ご療養に尽くされていると、父上様から伺っていたのですが──違いましたでしょうか?」

奇妙に訊かれ、濃姫は話を合わせるように慌てて頷いた。

その通りです。もう治りました故、心配には及びませぬ」

「それは何よりなことにございます。養母上様、ご本復おめでとう存じまする」

「ええ有り難う」

濃姫はぎこちなく微笑むと、やおらその足を奇妙の前へと運び

「奇妙殿。 ──…許してたもれ」

彼の前に膝を折り、低く頭を下げた。

奇妙は「はて?」と、目をぱちくりさせる。

「としての務めを果たすこともせず、大変申し訳なく思うておりまする」

「されどそれは、お身体が優れなかった故にございましょう?」

「それはそうなのですが……。実のことを申しますと、他に気にかかることがあり、奇妙殿への気配りが、疎かになっていたのです」

──

「全ては、この至らぬの落ち度にございます。まことにすまぬことを致しました。……どうか、この愚かな養母を許して下され」

切実に謝する濃姫の横へ、古沍は手にしていた高杯を静かに差し置いてゆく。

奇妙は濃姫の黒頭と、松風が盛られた高杯とを交互に見つめながら、やおら穏やかに微笑んだ。

「養母上様、どうぞ頭をお上げになって下さいませ。古の尊いお方の書にも、親が子に頭を下げるものではないとの教えが出て参ります」

濃姫はゆっくりと鎌首をもたげ、微笑む息子の顔を見上げる。

「どのような事情があるにせよ、養母上様が邪心を持ってされたのではないことは、よう分かっています。

養母上様がこうしてわたしの元へ参り、頭を垂れて詫びて下された──。そのお心だけで、奇妙は十分にございます」

奇妙殿」

「左様なお寂しげなお顔をなされず、どうかいつもの、お美しく気丈な養母上様であって下さいませ。美しい養母上様が、奇妙は大好きにございます」

気遣いに溢れた言の葉を聞き、濃姫の瞳の縁にうっすらと涙が浮かんだ。

何と良い御子なのだろう。

その包むような暖かさが、であった類によく似ている。

氏より育ちというが、我が子であったら、こんなにも良い子に育っていたかどうか

濃姫は今更ながら、亡き類に対して心の底から感謝していた。

有り難う。有り難う、奇妙殿」

目に涙を溜めながら微笑むと

──…まぁ、源氏物語をお読みだったのですか?」

濃姫は着物の袖口で目元を拭いつつ、机の上に置かれている書物を